特定非営利活動法人ボランタリーネイバーズがお答えします。
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実際の取り扱いは、税務署等の判断によって下記の通りにならない可能性があります。ご不明な事項は、税務署または税理士等の専門家にお問い合わせください。
目次
1)会計全般
@NPO法人の会計は所轄庁の監督を受けますか?
ANPO法人を設立するのに資本金は必要ですか?
BNPO法人は利益を計上することができますか?
C正味財産を配当・分配することはできますか?
DNPO法人の会計は複式簿記による必要がありますか?
ENPO法人会計と企業会計の違いは何ですか?
F会計ソフトにはどんなものがありますか?
G従業員に給与や賞与を支払うことはできますか?
H役員に報酬や賞与を支払うことはできますか?
I会計書類はどれくらいの期間保管すればよいですか?
J事業報告書等を提出しない場合、どうなりますか?
K任意団体からNPO法人になった場合に、設立初年度の収支計算書や事業報告書には、任意団体時代の活動も含めて記載するのですか?
L定款に定められた「その他の事業」をまったく行わなかった場合には、それらの事業に関する貸借対照表、財産目録および収支計算書を作らなくても良いですか?
M社員総会を開催できなかった場合、社員総会の決議なしで決算書を提出することはできますか?
N損益計算書を収支計算書の代わりに所轄庁に提出することはできますか?
O特定非営利活動よりもその他の事業に関する収支の方が大きくなった場合、どうすればいいですか?
P事業費よりも管理費の方が大きくなった場合、罰則はありますか?
Q債務超過になった場合、罰則はありますか?
2)法人税
@NPO法人がボランティアと一緒に公益性の高い事業を行う場合でも課税されますか?
Aどんな事業が課税対象になりますか?
B区分経理とは何ですか?
C会報の配布は課税対象ですか?
Dバザーは課税対象ですか?
Eスポーツを教えることは課税対象ですか?
Fホームヘルパー2級養成講座は課税対象ですか?
G行政から委託を受けても課税されますか?
Hコンサルティングを行った場合は課税対象ですか?
I会費や寄付金は課税対象ですか?
J領収書等のない経費は認められますか?
KNPO法人が寄付をした場合には経費として認められますか?
LNPO法人に寄付をする場合に寄付者は所得から控除できますか?
M認定NPO法人とは何ですか?
N役員報酬は経費として認められますか?
O寄付金や補助金、その他の財産をもらったら法人税はかかりますか?
P固定資産を売却したら税金はかかりますか?
3)源泉所得税
@源泉所得税とは何ですか?
Aどのような場合に源泉徴収を行う必要がありますか?
B年末調整とは何ですか?
Cセミナーの講師に謝金および交通費を支払った場合、源泉徴収は必要ですか?
4)消費税
@NPO法人に消費税は課されますか?
A赤字であっても消費税は課されますか?
Bどんな取引に消費税が課されますか?
C入会金や会費収入に消費税は課されますか?
D寄付金や補助金に消費税は課されますか?
E介護保険事業や支援費事業に消費税は課されますか?
F行政からの委託事業に消費税は課されますか?
G収益事業からの繰入金など、会計区分間でやり取りがある場合はどうなりますか?
H料金の表示や領収書に記載する金額はどうすればよいですか?
5)その他の税金
@領収書や契約書に収入印紙を貼る必要はありますか?
A収入印紙の金額を判断するにあたって基準となる金額は消費税込みの金額ですか?
B固定資産税を納める必要はありますか?
回答
1)会計全般
@NPO法人の会計は所轄庁の監督を受けますか?
NPO法人は事業年度終了後、3ヶ月以内に事業報告書、貸借対照表および収支計算書などの決算書を所轄庁に提出する必要がありますが、所轄庁はこれらの決算書類が正しく作成されているかについて、調査や監督を行うわけではありません。
NPO法人制度においては、これらの決算書を所轄庁に備え置いて一般に公開することにより、NPO法人が社会全体からのチェックを受けることが期待されています。したがって、法律上、所轄庁がNPO法人に対して指導監督を行うことは、可能な限り排除されています。
NPO法人が所轄庁から認証を受けたり、NPO法人の決算書が所轄庁で開示されているからといって、所轄庁がNPO法人に対して何らのお墨付きを与えているわけではないことに注意する必要があります。
ANPO法人を設立するのに資本金は必要ですか?
NPO法人には、所有者という概念がないので、株式会社でいうところの「資本金」というものはありません。(NPO法人では、純資産のことを株式会社のように「自己資本」などとは呼ばず、「正味財産」と呼びます。)
また、NPO法人を設立するにあたって、元入金が必要であるという規定もありませんので、とくに資金や財産をいくら用意しないとNPO法人を設立できない、ということはありません。ただし、債務超過(資産よりも負債の方が多い)の状態で法人を設立することは認められませんので、設立時の貸借対照表における正味財産は、ゼロ以上である必要があります。
BNPO法人は利益を計上することができますか?
NPO法人は非営利事業を目的とする法人ですが、この非営利というのは、「利益を計上しない」という意味ではなく、「利益を関係者に分配しない」ということを意味しています。
また、たとえ営利を目的としないNPO法人といえども、安定的に事業を行い、活動を拡大するためには、ある程度の黒字を計上する必要があります。したがって、NPO法人が適正なレベルの利益を獲得する分には、まったく問題はありません。
ただし、NPO法人が過大な利益を計上する場合には、営利企業との競合などの問題が生じる可能性があります。その場合でも、法律に抵触するわけではありませんが、NPO法人の社会的な存在価値という点で、疑念を生じるでしょう。
C正味財産を配当・分配することはできますか?
NPO法人は、営利を目的とするものではないため、たとえ利益が生じたとしても、それを配当などによって分配することはできません。稼得した利益は、すべて今後の活動のために使用しなければなりません。
またNPO法人は、残余財産についても自由に分配することはできません。清算等により残余財産を生じる場合には、他のNPO法人や公益法人、または、国や地方公共団体などに、すべて寄付しなければなりません。
DNPO法人の会計は複式簿記による必要がありますか?
NPO法人は「正規の簿記の原則」に従って会計処理を行わなければなりませんが、「正規の簿記」には「複式簿記」だけではなく、「単式簿記」も含まれます。
「単式簿記」というのは、「複式簿記」のように仕訳を帳簿に記入するのではなく、家計簿と同様に、現金の出納を帳簿に記入していく方法です。財政規模が小さい場合には「単式簿記」によっても「貸借対照表」や「収支計算書」を作成することは十分に可能であり、「単式簿記」によって会計処理を行うことも認められます。
(「単式簿記」から決算書を作成する方法については、「基礎からわかるNPO会計 1. はじめの一歩編」で詳しく説明しています。)
ENPO法人会計と企業会計の違いは何ですか?
NPO法人会計は、基本的に公益法人会計に従うものであり、収支計算を基礎として会計処理を行います。他方、企業会計は、損益計算を基礎として会計処理を行います。その結果として、NPO法人は収支計算書を作成しなければならないのに対して、企業は損益計算書を作成する必要があります。
収支計算書は、その名のとおり、資金の収支を表すものであり、NPO法人が資金不足に陥らないように管理するための書類です。それに対して損益計算書は、資金を含めた純財産の増減を把握して、利益を計算するための書類です。NPO法人は利益獲得を目的とせず、安定的な経営を行うことを重視するため、損益計算ではなく、収支計算を行います。
ただし、収支計算を行うだけでは、収支計算書と貸借対照表を直接に結びつけることができません。そこで、NPO法人では、収支計算を行った後に、正味財産の増減計算を行うという二段階の計算によって、最終的な純財産の増減を計算し、収支計算書と貸借対照表を連結させます。この点は、損益計算という一段階の計算で貸借対照表と損益計算書を連結させることができる企業会計と比較して、NPO法人会計のわかりにくいところです。
誤解を恐れずに大雑把にいうと、NPO法人会計における収支計算書は、企業会計でいうところのキャッシュ・フロー計算と、損益計算書をあわせたようなものであると考えることができます。
(NPO会計と企業会計の違いについては、「基礎からわかるNPO会計 3.NPO会計編」で詳しく説明しています。)
F会計ソフトにはどんなものがありますか?
会計ソフトを使用すると、勘定科目ごとの金額集計や総勘定元帳の作成が自動的にできるため、会計業務の負担が相当に軽減されます。NPO法人が利用できる会計ソフトには、以下のようなものがあります。
■公益法人会計ソフト
→ 大規模NPO法人向け機能的には最もNPO法人会計に適しているが、使用できる状態にするために必要なカスタマイズが複雑な場合があり、専門知識を要するとともに、高価である。
■介護保険用会計ソフト
→ 介護保険事業を行うNPO法人向け介護報酬請求管理や利用料金管理の機能もついている。また、スタッフの勤務実績や給与計算等の機能もついていることが多く、介護保険事業を行うNPO法人には便利。ただし、基本的に高価である。
■企業会計ソフト
→ 中・大規模NPO法人向け部門別会計が可能で、法人税や消費税の申告に対応しているものもあり、比較的安価で機能も高い。ただし、NPO法人が使用するためには勘定科目を大幅にカスタマイズする必要がある上に、収支計算書を作成することができないため、決算時には調整が必要である。
■NPO会計ソフト
→ 小規模NPO法人向け勘定科目がNPO法人に適したものになっているため、カスタマイズの手間をかけずに収支計算書を作成することができる。価格も比較的安価である。ただし、一部に正味財産の増減計算に対応しておらず、固定資産の処理がうまくできないものがある。また、区分経理や税金の申告には十分に対応できないことが多い。
どのソフトを使用するにしても、一長一短があり、これさえあれば大丈夫という、安価なソフトはまだ開発されていないのが現状です。また機能が高くなれば、それなりに操作が複雑になりますので、それぞれの団体にとって、どのような機能が必要なのかを良く見極めてソフトを選ぶことが必要です。
G従業員に給与や賞与を支払うことはできますか?
NPO法人も、従業員に給与を支払うことは可能であり、また一定の規程を設けていれば、賞与を支払うことも可能です。
ただし、従業員を雇用する場合には、税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出して所得税の源泉徴収を行うとともに、労働基準法などを考慮して雇用契約や労働保険・社会保険などを整備していく必要があります。
H役員に報酬や賞与を支払うことはできますか?
NPO法人が、役員総数の3分の1を超えて役員報酬を支払うことは法律で禁止されていますが、その範囲内で役員に報酬を支払う分には問題ありません。このときの役員報酬とは「役員として」の報酬を意味するものであり、理事が同時に職員として働く場合に、職員として行った職務に基づいて対価を支払う部分については、役員報酬と考える必要はありません。
他方、NPO法人が役員に賞与を支払うことは認められません。なぜなら、NPO法人には利益配当が認められないため、同様に利益処分となる役員賞与についても、禁止されているからです。
I会計書類はどれくらいの期間保管すればよいですか?
法人税法によると、仕訳帳や総勘定元帳、貸借対照表、損益計算書およびその他の決算資料、契約書や領収書、請求書などの取引資料については、7年間保管することと定められています。
ただし、貸借対照表や収支計算書など、所轄庁に提出した決算書類は重要書類ですから、永久保存とすべきでしょう。また、民法上の時効は10年ですから、仕訳帳や総勘定元帳については10年程度保管することが望ましいと思われます。
J事業報告書等を提出しない場合、どうなりますか?
事業報告書等を期限内に提出することは、法律で定められたNPO法人の義務です。したがって、この義務が果たされない場合、NPO法人の理事および監事に罰金が課せられます。さらに、3年以上提出がない法人は、設立の認証を取り消されることが法律で定められており、現実に認証を取り消された団体が出始めています。
また、事業報告書等を提出していない場合には、認定NPO法人になるために必要な所轄庁の証明書の交付を受けることができません。
K任意団体からNPO法人になった場合に、設立初年度の収支計算書や事業報告書には、任意団体時代の活動も含めて記載するのですか?
法人としての活動は、法人の成立の日(設立登記をした日)から始まります。したがって、任意団体の期間を含めることはできません。任意団体の財産を継承している場合は、設立時正味財産とするか、法人の成立後に寄付金などとして受け入れ処理をすることになります。
L定款に定められた「その他の事業」をまったく行わなかった場合には、それらの事業に関する貸借対照表、財産目録および収支計算書を作らなくても良いですか?
定款に「その他の事業」を行う旨が記載されている場合には、たとえ実際には「その他の事業」を行わなかったとしても、事業報告書に「その他の事業」を行わなかった旨を明記する必要があります。また、貸借対照表、財産目録、収支計算書は、事業会計ごとに作成しなければなりませんので、定金額をゼロにして、これらの書類をすべて作成します。
ただし、定款に「その他の事業」を行う旨が明記されていなければ、「その他の事業」の貸借対照表、財産目録、収支計算書を作成・提出する必要はありません。
M社員総会を開催できなかった場合、社員総会の決議なしで決算書を提出することはできますか?
社員総会の承認を受けていない決算書は、団体の正式な書類とは認められませんので、必ず総会の決議を経て提出しなければなりません。NPO法上、事業報告書等を提出する義務については、期限の延長等の特例措置がありませんので、期限に間に合うように総会を開催する必要があります。
N損益計算書を収支計算書の代わりに所轄庁に提出することはできますか?
NPO法第28条及び第29条の規定に基づき、NPO法人は収支計算書を作成し、所轄庁に提出することとされています。したがって損益計算をもって収支計算書の代わりとすることは認められません。
O特定非営利活動よりもその他の事業に関する収支の方が大きくなった場合、どうすればいいですか?
「その他の事業」に関する収支の占める割合が大きくなったとしても、直ちに罰則があるわけではありません。しかし、NPO法人は、法律で「特定非営利活動を行うことを主たる目的とする」と規定されています。したがって、「その他の事業」の収支が「特定非営利活動に係る事業」の収支よりも大きい場合は、特定非営利活動を主たる目的としていない、とみなされる可能性があり、違法の疑いが生じます。
とはいっても、実際にそうなってしまった場合には、どうしようもありませんし、決算書にウソを書くわけにもいきません。その年度については正直に真実の報告を行うとともに、次年度以降、そのような状態にならないように注意して活動を実施する必要があります。
P事業費よりも管理費の方が大きくなった場合、罰則はありますか?
直ちに罰則がある、というわけではありませんが、NPO法人が本来目的とする事業にお金を使わず、事務管理に多大な支出を費やす場合には不当に団体の財産を食いつぶし、個人の利益のために浪費をしている、と思われる可能性があります。
このような疑念を招かないように、次年度以降、注意をする必要があります。
Q債務超過になった場合、罰則はありますか?
超過債務になったとしても、直ちに何らかの問題が生じるということはありません。また、特に罰則もありません。しかし、債務超過の状態にある、ということは、実質的に破産しているのと同じことですから、社会的な信頼は完全に失われていると考える必要があります。
早急に寄付を集めるなどの対策を講じて、債務超過の穴埋めをする必要があるでしょう。
2)法人税
@NPO法人がボランティアと一緒に公益性の高い事業を行う場合でも課税されますか?
NPO法人が、税法上の収益事業に該当する事業を行い、所得(利益)を得ている場合には、その事業の内容がいかに公益性の高いものであっても、法人税が課税されます。
このような事業がボランティアに支えられている場合には、ボランティアに通常の報酬を支払うとすれば、当然に赤字になる、というようなケースも多いかもしれません。しかし、税法上は、このような事情は一切考慮されません。税法上の収益事業(33種類あります)を行って、所得を得ている場合には、形式的に判断して法人税の課税が行われますので、注意する必要があります。
Aどんな事業が課税対象になりますか?
NPO法人は、株式会社などの一般企業とは異なり、すべての所得に対して法人税が課されるわけではありません。NPO法人の場合、法人税法に定められた33種類の「収益事業」から得た所得にのみ、法人税が課されます。
NPO法人の場合、上記の事業を行わない場合には法人税は課されません。また上記以外の事業から所得を得たとしても、その部分には課税されず、上記の収益事業から得た所得の部分にのみ、課税が行われることになります。
B区分経理とは何ですか?
NPO法人が、NPO法上の「その他の事業」や、法人税法上の「収益事業」を行う場合には、「その他の事業」や「収益事業」を区別して会計処理をして、独立した決算書を作成しなければいけません。これは企業会計でいう事業部門別会計と似たものですが、NPO法人の場合、貸借対照表や収支計算書(または損益計算書)などの決算書そのものについても、事業区分ごとに、別々に作成しなければならない点が異なります。
区分経理において、とくに問題となるのは経費の取り扱いです。事業との関連性がはっきりしているもの(直接費)については、その事業に対して直接に賦課すればよいのですが、事業との関連性が明らかでないもの(間接費)については、使用割合や従事割合、収入比率など、適切な基準を用いて、各事業に間接的に配賦してやる必要があります。
(区分経理については、「基礎からわかるNPO会計 5.区分経理編」(準備中)で説明します。)
C会報の配布は課税対象ですか?
会報の発行は出版業に該当しますが、会報の発行が、主として(目安として8割程度)会員に配布するためのものであり、第三者への販売を目的とするものでない場合には、収益事業から除外され、法人税は課税されません。
また会報に広告を掲載して、広告料を徴収する場合に、広告料収入に対して課税されるかどうかが問題となりますが、この広告料収入は、会報発行業務に係る収入に含まれることになるため、上記のように会報発行業務自体が収益事業から除外される場合には、当該広告料収入も課税対象とはならないと考えられます。
Dバザーは課税対象ですか?
法人税法上の収益事業に含まれる物品販売業とは、事業場を設けて継続的に営まれるもののことをいいます。したがって、たまたま年に1、2回バザーを開催しても、収益事業には該当しませんが、定期的に何回もバザーを開催する場合には、物品販売業に該当する可能性があります。
ただし、1回しかバザーを行わない場合であっても、製造業や技芸教授業の一環として製作された物品を販売する場合には、製造業や技芸教授業の付随行為として課税対象となります。
Eスポーツを教えることは課税対象ですか?
スポーツを教える場合、技芸教授業に該当するかどうかが問題となりますが、技芸教授業として課税されるのは、洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン、自動車・小型船舶の操縦、学力の教授に限定されます。したがって、スポーツの教授は上記に限定列挙された技芸教授業に含まれませんので、課税対象とはなりません。
また、行政などからの委託によりスポーツの教授を行った場合には、請負業に該当するかどうかについても考える必要があります。しかし、たとえ請負業に該当するような事業であっても、いったん別掲の事業として収益事業に該当するかを判断した事業について、別途もう一度、請負業として収益事業に該当するかを判断する必要はありません。なぜなら、事業の性質から本来的に収益事業に該当しない、と判断された事業について、請負業として課税するようなことがあるならば、別掲事業に照らして課税しない、と判断した意味がなくなってしまうからです。したがって、委託によってスポーツを教える場合であっても、請負業には該当せず、課税対象とはならないと考えられます。
Fホームヘルパー2級養成講座は課税対象ですか?
技芸教授業は、洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン、自動車・小型船舶の操縦、学力の教授に限定されており、これらに含まれないものを教えたとしても、技芸教授業には該当しません。
また、技芸教授業には免許や資格の付与も含まれるとされていますが、このような免許等の付与についても、上記に含まれていない技芸に関する免許を交付する場合には、技芸教授業に含める必要はありません。したがって、ホームヘルパー2級講座は技芸教授業として課税されることはないと考えられます。
ただし、当該講座を行うために会議室を貸し出したり、テキストの販売に付随してこのような講座を開催する場合には、席貸業や物品販売業に該当する可能性があります。
G行政から委託を受けても課税されますか?
国や地方公共団体から委託を受けた場合であっても、請負業として課税されます。ただし、実費弁償(契約や事業そのものの性質から、明らかに利益が発生しないと判断される事業)として、あらかじめ所轄税務署長の承認を受ければ、その承認を受けた期間については、収益事業に含めないことができます。
Hコンサルティングを行った場合は課税対象ですか?
NPO法人が他のNPO法人、企業、行政や個人などから依頼を受けてコンサルティングを行う場合には、他人の委託を受けて調査や情報収集、業務改善などを請け負うことになりますから、請負業として課税対象となります。
I会費や寄付金は課税対象ですか?
会費や寄付金が、サービスの対価として支払われるものでない場合には、課税対象とはなりません。したがって、会費をもらって会報を発行する程度の場合には、収益事業には含まれませんが、スポーツクラブのように会費を受け取って施設を使用させるような場合には、遊技所業として課税されることになります。
J領収書等のない経費は認められますか?
電車代などの交通費や、自動販売機で物を購入する場合などには、領収書や請求書を入手できない場合がありますが、領収書等がないものは全く経費として認められない、というわけではありません。NPO法人の活動に関連してその経費が必然的に発生したことを、間接的にでも立証できるならば、経費として計上しても問題はないと考えられます。
領収書等をどうしても入手できない場合には、支払証明書や交通費精算書などを作成して、日時・支払者・支払先・用途・金額などを記載しておくとよいでしょう。
KNPO法人が寄付をした場合には経費として認められますか?
NPO法人が、他のNPO法人や個人などに寄付をした場合には、一定の金額(損金参入限度額)まで、税務上の経費に含めて所得から控除することができます。損金参入限度額は、各事業年度の所得の2.5%です。
(損金参入限度額については、「基礎からわかるNPO会計 6.税務編」で詳しく説明しています。)
LNPO法人に寄付をする場合に寄付者は所得から控除できますか?
個人が、認定NPO法人以外のNPO法人に寄付をした場合には、寄付をした個人に寄付控除は認められません。個人が、認定NPO法人に寄付をする場合には、寄付をした個人に対して一定限度額まで寄付控除が認められます。
企業が、NPO法人に寄付をした場合には、それが認定NPO法人に対するものでなくても、損金参入限度額まで、税務上の経費に含めて所得から控除することができます。また、企業が認定NPO法人に寄付をする場合には、普通のNPO法人に寄付する場合と比較して、損金参入限度額の計算に一定の優遇が認められます。
(損金参入限度額の計算方法および認定NPO法人制度については、「基礎からわかるNPO会計 6.税務編」で詳しく説明しています。)
M認定NPO法人とは何ですか?
一定の要件を満たすNPO法人が国税庁長官の認定を受けた場合、認定NPO法人として、税制上の優遇を受けることができます。認定NPO法人になるためには、総収入金額等のうちに占める受入寄付金総額の割合が5分の1以上である、特定範囲の者を対象とする活動の占める割合が50%未満である、など、様々な条件を満たす必要があります。
認定NPO法人になると、認定NPO法人に対して寄付をした個人に寄付金の控除が認められたり、認定NPO法人が税法上の収益事業から得た所得の20%まで「みなし寄付金」として他の事業に充当することが認められる、などの優遇が与えられます。
(認定NPO法人の要件および優遇措置については、「基礎からわかるNPO会計 6.税務編」で説明しています。)
N役員報酬は経費として認められますか?
法人税法上、役員報酬は経費として認められます。ただし、役員報酬が職務の内容などから考えて過大な場合には、相当と認められる金額を超える部分については、経費として認められません。
また、役員報酬には、金銭による給与や報酬だけが含まれるわけではありません。団体の財産を役員に贈与したり、低額で譲渡する場合や、役員に対して使途が不明であったり、業務に関係のない交際費を支給する場合なども、役員報酬に含められる可能性があります。
また、役員に対する報酬が、継続的・定期的に支払われない場合には、税法上、役員報酬ではなく役員賞与として取り扱われますが、役員賞与は利益処分項目であるため、経費として認められません。したがって、一定の基準に従って給与を毎月支払うような場合ならば良いのですが、臨時に報酬を支払う場合や、収入に応じて報酬を支払うような場合には、役員賞与と判断されて経費に含めることができなくなる可能性がありますので、注意する必要があります。
また、理事が職員を兼任する場合には、職員として遂行した職務の対価については、役員報酬や役員賞与に含めずに、従業員に対する給与や賞与として取り扱うことができます。このようなケースでは、役員に対する賞与であっても、従業員部分については、税務上の経費とすることができる可能性があります。ただし、代表理事や専務理事、常務理事などの役職が付いた理事や、職員との兼任が認められない監事の場合には、税務上、従業員部分は一切認められませんので、注意する必要があります。
O寄付金や補助金、その他の財産をもらったら法人税はかかりますか?
寄付や受贈を受ける行為は、税法上の収益事業に該当しませんので、課税対象とはなりません。ただし、実質的に収益事業への対価と認められるような寄付金や、収益事業に係る経費を補填するために交付を受けた補助金などについては、課税対象となります。
P固定資産を売却したら税金はかかりますか?
NPO法人が、税法上の非収益事業のために使用する固定資産を売却しても、法人税の課税対象とはなりませんが、収益事業のために使用する固定資産を売却する場合には、収益事業に付随する行為として、売却損益に対して課税が行われます。
ただし、長期間(概ね10年以上)保有する固定資産を売却する場合には、その売却損益は、収益事業の付随行為というよりは、キャピタル・ゲインに相当しますので、収益事業に係る損益に含めないようにすることができます。
ただし、上記の処理を適用する場合、一事業年度において2以上の固定資産の処分があるときは、すべての処分損益について同様に取り扱う必要があり、譲渡益が生じる取引のみを収益事業に係る損益から除く、ということは認められません。
3)源泉所得税
@源泉所得税とは何ですか?
所得税は、個人の所得にかかる税金です。所得に応じて税率などが決まっており、税額を計算して納める必要があります。
本来は所得を受ける者が、自分の1年間の所得金額から税額を計算し、申告して納付すべきなのですが(これを「確定申告」といいます)、特定の所得については、給与や報酬が支払われる時に、一定の規則に従って支払者が所得税を預かっておいて、本人に代わって納付します。
所得税におけるこのような仕組みのことを「源泉徴収制度」といいます。給与や利子、税理士などに対する報酬を支払う場合には、支払者は「源泉徴収」を行わなければいけません。その結果、給与や報酬を受ける人は、すでに税金が差し引かれた金額で給与や報酬を受け取ることになります。このとき源泉徴収されている所得税のことを「源泉所得税」と呼びます。
Aどのような場合に源泉徴収を行う必要がありますか?
源泉徴収の対象となる給与や報酬を支払う場合には、定められた算式によって税額を計算し、源泉徴収をしなければなりません。従業員に支払う給与や退職手当、一定の者に支払う謝金や報酬などがこれにあたります。
(源泉徴収の対象となる給与や報酬の範囲については、「基礎からわかるNPO会計 6.税務編」で詳しく説明しています。)
B年末調整とは何ですか?
給与の支払者は、給与を支払う際に所得税の源泉徴収を行っていますが、1年間に源泉徴収した所得税の合計額が、従業員が1年間に納めるべき所得税額と必ずしも一致するとは限りません。
そこで、年に1回、源泉徴収した税額と納めるべき税額を一致させる手続きが必要となります。これを「年末調整」といいます。「年末調整」では、源泉徴収によりすでに納めた税額と、1年間の確定税額を比較し、納付額が不足する場合は追徴を、納付額が多すぎる場合には還付を行うことになります。
Cセミナーの講師に謝金および交通費を支払った場合、源泉徴収は必要ですか?
謝金は、源泉徴収の対象となります。また、通常の給与に加算して支給される通勤手当は、原則として源泉徴収の対象にはなりませが、報酬に加算される交通費や宿泊費などの費用は、源泉徴収の対象になります。したがって、講師謝金に交通費などを加算して支払う場合には、たとえ実費を支給する場合であっても、交通費などからも源泉徴収を行わなければいけません。
ただし、交通費を本人に支給せず、報酬の支払者が代わりに直接請求先に対して支払う場合には、その金額が通常必要と認められる範囲内であれば、源泉徴収をする必要はありません。したがって、新幹線代などを現金で講師に渡すのではなく、切符などの現物を渡すようにすれば、源泉徴収をする必要がなくなります。また、支払先が法人の場合には、報酬および交通費ともに、源泉徴収をする必要はありません。
4)消費税
@NPO法人に消費税は課されますか?
NPO法人であっても、株式会社などと同様に、課税収入が1,000万円を超える場合には課税事業者となるため、消費税を納付する必要があります。なお、消費税の課税事業者になるかどうかは、前々事業年度(2年前)の課税収入の金額によって判断します。したがって、前々事業年度がない新規設立団体などは、当期の課税収入の金額にかかわらず、免税事業者となります。
A赤字であっても消費税は課されますか?
消費税は、所得金額に対してではなく、取引金額に対して課される税金です。したがって、たとえ所得が赤字であっても、課税収入に係る消費税額の方が課税仕入に係る消費税額よりも大きい場合には、消費税を納付する必要があります。
Bどんな取引に消費税が課されますか?
NPO法人が行うすべての取引に対して、消費税が課されるわけではありません。どのような取引によって収入が発生したかによって、取り扱いが変わってきますので注意が必要です。
■課税取引: 消費税の課税対象となる取引は、以下の要件を満たし、かつ非課税取引および輸出免税取引に該当しないものです。
・日本国内で行う取引(国内取引と輸入取引が課税対象となります)
・事業として行う取引(NPO法人が事業の一環として行う取引は課税対象となります)
・対価を得て行う取引(無償で行われる取引は課税対象とはなりません)
・資産の譲渡、貸付、役務の提供であること(寄付金や一定の補助金は課税対象とはなりません)
■非課税取引: 上記の条件にあてはまる場合でも、以下のような取引については、政策的な見地などから非課税とされます。
・介護保険事業
・支援費事業
・身体障害者用物品の販売・レンタル
・住宅家賃
・利子および保険料
■不課税取引: 会費、寄付金、補助金および保険金など、対価を得て行う取引でないものについては、課税されません。
(課税取引、非課税取引および不課税取引の内容や、それぞれの取引に対する取り扱いの違いについては「基礎からわかるNPO会計 6.税務編」で詳しく説明しています。)
C入会金や会費収入に消費税は課されますか?
通常、NPO法人が徴収する入会金や会費は、対価性がないため、消費税の課税対象とはならないと考えられます。ただし、たとえ入会金や会費という名目で金銭を受け取ったとしても、スポーツクラブの会費などのように、サービスの対価としての性質が強い場合には、「対価性がある」と判断されて課税対象となります。
また、会費を受け取って会報を届けるようなケースでは、会報が団体の業務運営の一環として構成員に配布されるだけであれば、会費をサービスの対価とまで考える必要はなく、課税対象とはなりません。ただし、会報の発行にあたって広告料収入を受け取っている場合には、広告料収入については課税対象となります。
なお、簡易課税ではなく本則課税を適用する場合には、入会金収入や会費収入は特定収入となるため、仕入税額控除の計算にあたって、特別な取り扱いを必要とします。
(簡易課税および本則課税については、「基礎からわかるNPO会計 6.税務編」で詳しく説明しています。)
D寄付金や補助金に消費税は課されますか?
寄付金には対価性がないため、消費税は課されません。ただし、寄付をすると会報に広告が載るというような場合、たとえ名目上は寄付金であっても、実態は広告宣伝費ですから、課税対象となる可能性があります。
補助金についても同様に、対価性がない場合には消費税は課されません。なお、簡易課税ではなく本則課税を適用する場合には、寄付金や補助金は、特定収入となる可能性があるため、仕入税額控除の計算にあたって、特別な取り扱いを必要とする場合があります。
E介護保険事業や支援費事業に消費税は課されますか?
介護保険制度や支援費制度の枠内で提供されたサービスについては、非課税取引となりますので、本人負担分を含めて消費税は課されません。ただし、介護保険制度や支援費制度の枠外で提供されたサービスについては、たとえ内容的には同じようなサービスを提供しているとしても消費税が課されます。
F行政からの委託事業に消費税は課されますか?
国や地方公共団体から委託を受けた場合であっても、消費税は課されます。
G収益事業からの繰入金など、会計区分間でやり取りがある場合はどうなりますか?
消費税は、法人全体を一つの会計単位として申告を行うため、会計区分間でやり取りがある場合には、内部取引を相殺して消費税額を計算することになります。
H料金の表示や領収書に記載する金額はどうすればよいですか?
商品やサービスの料金表示および領収書の金額は、消費税を含めた金額で記載しなければいけません(総額表示)。消費税額および本体価格を明示したい場合には、いったん総額で記入しておいて、内書きで消費税額や本体価格を記載する方法が考えられます。
5)その他の税金
@領収書に収入印紙を貼る必要はありますか?
NPO法人は営利を目的としないため、領収書に収入印紙を貼る必要はありません。領収書が、税法上の収益事業に係るものであったとしても、取り扱いに違いはなく、収入印紙は不要となります。
ただし、NPO法人であっても、契約書には金額や内容に応じて収入印紙を貼っておく必要があります。例外として介護保険制度や支援費制度に係る契約書については、収入印紙が免除されています。
A収入印紙の金額を判断するにあたって基準となる金額は消費税込みの金額ですか?
契約書などに印紙を貼付する場合には、原則として、消費税を含めた金額で印紙税の金額を判断します。ただし、契約金額に含まれている消費税の金額が明記されている場合には、消費税額を含めない金額で判断することが認められます。
B固定資産税を納める必要はありますか?
固定資産税は、土地、家屋および償却資産に対して課税される地方税(市町村に対して支払う)です。原則として、NPO法人に対する免税措置はありませんので、一定金額以上の固定資産を保有するNPO法人は、固定資産税を納付する必要があります。ただし、同一市区町村内に所有する資産の課税標準の合計額が、以下の金額に満たない場合には課税されません。
土地 30万円
家屋 20万円
償却資産 150万円
(固定資産税については、「基礎からわかるNPO会計 7.固定資産編」(準備中)で詳しく説明します。)
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